01市場と観測
- 需給ギャップ
- あるカテゴリにおける需要(買い手側の活動量)と供給(出品・提案の量)の差。MarketKernel はこれを単一のスコアに潰さず、相対値・絶対量・信頼度・時系列として別々に出力する。
- サービスマーケットプレイス
- スキルや役務を売買するオンライン市場。ココナラ、Fiverr、Upwork、Freelancer.com、クラウドワークス、ランサーズ、Kmong、猪八戒网など。市場構造(出品型、Gig型、求人・提案型、入札型、募集応募型、コンペ型)はプラットフォームごとに異なる。
- 観測(Observation)
- 非ログインの公開ページを1日1回取得し、生のレスポンスボディをそのまま保存する行為。取得時点では数えない・比べない・判定しない。生データが一次資産で、集計値ではない。
- 対照群
- 動かないはずのカテゴリ(陰性対照)と動くはずのカテゴリ(陽性対照)。安定カテゴリが安定して見えることが、計器が正しく動いている証拠になる。初期観測対象14件のうち3件。
- 三層構造
- Observation Layer(プラットフォーム固有の生の単位)→ Market Layer(共通の市場定義)→ Index Layer(比較可能な指数+絶対量+Confidence)の3段階。各層は前層へのポインタを保持し、指数から生ページのハッシュまで遡れる。
- Market Ontology
- 「logo design」「ロゴ制作」「brand logo」などの多言語・多表記を
DESIGN > BRANDING > LOGO_DESIGNのような単一の市場定義に束ねる対応表。LLM は対応表の生成にのみ使い、実行時の分類器にはしない。バージョン付きで凍結し、再分類は日付を切ったマイグレーションとしてのみ行う。 - アンカー較正
- 両プラットフォームに明確な対応物があるカテゴリを少数固定し、そこで推定した較正係数を使って残りのカテゴリの絶対量を推定する方法。相対値だけの統合では水準の差が消えるため、この工程が地域間・プラットフォーム間の比較を成立させる。
02指標セット
- demand_index(需要指数)
- 需要の相対値。0〜100。販売実績・レビュー数の期間差分(販売速度)を中核に、検索意図、外部検索需要、求人データを代理指標として構成する。
- supply_index(供給指数)
- 供給の相対値。0〜100。出品数・Gig数に加え、入札数・提案数も供給側に算入する(需要に足すと符号が逆になるため)。
- gap_index
- demand_index − supply_index。正なら需要超過、負なら供給超過。単位は pt。総合ランキングの根拠には使わず、既定の並び順にもしない。
- momentum
- gap_index の90日間の変化量(pt)。方向と速さを示し、水準そのものは示さない。
- price_median
- そのカテゴリの中央値価格。通貨額。Upwork の求人1件が $500 か $50,000 かを区別するため、予算帯を併記する。
- volume_absolute(絶対量)
- 観測件数または GMV の代理値。実数。「100 ÷ 10」と「10,000 ÷ 1,000」を区別するために必ず出力し、省略した出力は作らない。絶対量の推定精度は volume_confidence として別に出す。
- confidence(信頼度)
- 0〜100。シグナル品質(S)、ソース多重性(M)、標本量(N)、観測期間長(T)、鮮度(F)の5因子の加重和。重みは仮置きから始め、Signal Validation Log の実測的中率で較正する。低い値のカテゴリも隠さず、ハッチ表示で示す。
- Cross-Market Gap
- 同一の市場定義について、地域間の需要・供給の水準と変化を並置した指標。事実の並置に留め、解釈を加えない。言語とプラットフォームの壁により即座には埋まらないため、公開しても自己破壊しにくい。
03検証と監査
- Signal Validation Log
- 指標の妥当性についての反証可能な仮説を、対象集合を凍結したうえで事前登録し、検証日に結果を成否にかかわらず公開する記録。検証するのは市場ではなく自社の指標。
- 較正曲線
- Confidence の帯(例:90以上、60未満)ごとの実測的中率。Confidence が的中率と単調に相関していなければ、Confidence モデルが壊れている。四半期ごとに公開する。
- 日次チェーン(chain_head)
- 1日分のマニフェスト(取得の成功・失敗の全記録)のハッシュを、前日のチェーンヘッドと日付に連結して SHA-256 を取った値。初日の prev_chain_head はゼロ64桁。過去を遡って書き換えていないことの証拠になる。
- 外部アンカリング
- chain_head を自社の管理外に固定すること。OpenTimestamps(ブロックチェーン)と公開 Git リポジトリへの日次コミットの2系統を使う。自社内だけで完結したチェーンは第三者への証明にならない。
- spec_version
- スナップショット取得仕様書の版。チェーンの各レコードに記録され、仕様を変更した日をチェーン上で特定できる。仕様変更を静かに行わないための仕組み。
04ライセンス
- 更新権
- 期限付きでデータの更新を受け取る権利。データを流し続けるのでも、レポートを切り売りするのでもない。価値の実体が鮮度にあるため、支払いが止まれば手元のデータは自然に陳腐化し、技術的な利用制限を必要としない。
- 公開権
- 「当社の調査によると」として対外的に表示できる権利。内部利用のみの権利とは別に扱う。独占の対象になるのは公開権だけで、データを閲覧できる主体を制限する「アクセスの独占」は販売しない。
- 履歴の深さ
- 遡れる期間(直近のみ/12ヶ月/全履歴)。スナップショットは誰でも取れるが、遡れる期間は後発が原理的に作れないため、価格の主軸に置く。
- 責任分界
- MarketKernel は観測事実と方法論の正確性に責任を持ち、利用者は意思決定とその結果に責任を持つ、という整理。「儲かるか」ではなく「観測が正確か、算出過程が記載どおりか」が問われる対象になる。